高森明勅

2023年6月27日4 分

「男系男子」限定と限定解除で皇位継承の期待値はどう変わる?

以前にも紹介した皇位継承を巡る期待値計算。

「男系男子」限定を維持した場合と、その限定を解除した場合で、どれだけ違って来るか?

前提条件として、いささか楽観的ながら、一先ず代々必ずご結婚できると仮定する。

スタート時点の人数は、皇室の現状を踏まえて1人だけとする(旧宮家プランは、皇位継承資格の純粋性〔君臣の別〕を損ないかねず、門地差別その他、数多くのハードルがあり、現実的ではないので除外)。

出生数は、上皇陛下の世代以降の出生率が1.2~2なので、先ずはどの世代も1人とする。

すると、「男系男子」限定の場合、継承可能性の期待値は以下の通り。

2代目=50%

3代目=25%

4代目=13%

5代目=6%

これでは早々と次世代から不安化する。では、出生数を多めに設定して、どの世代も2人とすると、どうか?

2代目=75%

3代目=56%

4代目=42%

5代目=32%

これでも3代目以降は不安を抱える(もちろん2代目も楽観はできない)。“一夫一婦”制のもとで「男系男子」限定という無理で無茶な限定を維持すれば、当然こうなる(しかもリアルに考えると、畏れ多いが次の世代のご結婚のハードルは、今のルールのままなら、とてつもなく高くなってしまうはずだ)。一方、その限定を解除すると、どうなるか?

スタート時点が1人で、出生数が1人でも以下の通り。

2代目=100%

3代目=100%

4代目=100%

5代目=100%

先の「男系男子」限定を維持した場合と比べて、当然ながら格段に安定化する上に、世代ごとにより差が開く。しかも限定解除ならば、スタート時点での人数も当事者のご納得を前提に、2人とか3人などに増やせる可能性が生まれる。皇位の安定継承、皇室の弥栄(いやさか)を本気で願うならば、どちらの皇位継承ルールを選ぶべきかは、改めて言うまでもない。

その昔、私もヒアリングに応じた「皇室典範に関する有識者会議報告書」(平成17年11月)の結論部分には、以下のようにあった。

「象徴天皇の制度は、国民の理解と支持がなくては成り立たない。このことを前提に…多角的に問題の分析をした結果、非嫡系継承の否定、我が国社会の少子化といった状況の中で…皇位の男系継承を安定的に維持することは極めて困難であり、皇位継承資格を女子や女系の皇族に拡大することが必要であるとの判断に達した」

この提言が、政府・国会の無為怠慢と国民の無関心によって、20年近くも放置され続けてきたのは異常と言う他ない。

追記

①漫画家の小林よしのり氏から『ゴーマニズム宣言SPECIAL 愛子天皇論』(扶桑社)、『よしりん辻説法⑥恋愛論・完』(光文社)をご恵送戴いた。ご高配に厚く御礼を申し上げる。

②兵庫県・荒井神社名誉宮司の廣瀬明正氏から『令和の新時代を迎へて 再続・いま思ふこと』(荒井神社)をご恵送戴いた。長年にわたるご努力に敬意を表する。

③京都産業大学名誉教授の所功氏から『天皇の歴史と法制を見直す』(藤原書店)をご恵送戴いた。年来のご教導に感謝する。

④私のブログは、およそ週3回を目処に原稿を担当者に送り、担当者が私の個人サイト及びFacebook、ゴー宣道場サイトにアップしてくれている。担当者はほぼボランティアで、原稿に適宜改行などを施す他、個人サイトとFacebookには(自作又は自らセレクトした)画像も添付してくれる。

その際、アップする少し前に私に画像を送ってくれるが、正直に白状すれば(他の用件などの為)必ずしもきちんとチェックできている訳ではない。担当者はデザイナー、クリエイターなどとしてはプロフェッショナルであるが、私がブログで取り上げるテーマ自体についての専門家ではない。それにしても、画像の制作・セレクトは概ね適切だ(私の想定以上に貴重な画像が発掘・使用されていることもしばしばある)。

しかし6月25日にアップしたブログの画像の中で、私が文中で言及した醍醐天皇ではなく後醍醐天皇の画像が使われるケアレスミスが、珍しく生じた。幸い、私のFacebookを読んで、いち早くそのミスに気付いた方が、わざわざコメント欄に書き込んで、迅速的確に教えて下さった。

そのお蔭で、(私も担当者もブログ管理に張りついている訳ではないにしては)比較的早い時点で画像を差し替えることができた。まことに有り難い。

ご好意に感謝申し上げる(但し画像を差し替える作業に伴い、親切にミスを指摘して下さったコメントまで削除されたのは、恐縮至極)。又、担当者がアップする前に、せっかく予め画像を送ってくれていたにも拘らず、私がチェックを怠ったせいで、一旦アップした後に画像を差し替える無駄な手間を掛けさせてしまい、申し訳なかった。

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