高森明勅

2021年4月30日1 分

米バイデン政権が「海外緊急作戦」予算を廃止したことの意味

最終更新: 2021年5月14日

4月9日、米バイデン政権が、公務員給与など「義務的経費」以外の「裁量的予算要求」の概要を公表した。そこに同政権の政治姿勢がストレートに表現されている。
 

注目すべきは、軍事費のうち「海外緊急作戦」を特別枠の予算項目としては廃止(!)したことだ。通常の国防基本予算の枠内で対処するという。その一方、同盟国との連携強化が謳われている。

これは何を意味するか。

「要するに『海外緊急作戦』については、各地域の同盟国にこれまで以上に責任を負ってもらうという意味に他ならない」(島田洋一氏、産経新聞4月22日付)。
 
これは勿論、他人事ではない。

「日本としては、今年秋以降、アメリカの『海外緊急作戦』予算は消えるとの想定の下、尖閣有事への対応を考えねばならない」「抑止力として米国の存在は大きい。しかし、有事に際しては、基本的に日本単独で持ちこたえ、実効支配を維持していかねばならないだろう」(同氏)

軍事費を刈り込むなら、先ず他国の面倒を見る為の費用から削る。
 

 
当たり前と言えば当たり前のことながら、日本の政府・国会に、それに対処する覚悟が果たしてあるのか。

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