高森明勅

2021年4月24日2 分

ロシアのウクライナ侵略に見る現代の戦争の「ハイブリッド」化

ロシアのウクライナ侵略に見る現代の戦争の「ハイブリッド」化

日本の陸上自衛隊が、日露戦争以来、100年以上の“伝統”を誇る「突撃」訓練を繰り返している一方で、現代の戦争はどのような様相を呈しているのか。

2014年のロシアによるウクライナ侵攻に、その実例を見ることができる。

「当時、ロシアは電子戦によってウクライナのレーダーを使用不能にするとともに、サイバー攻撃(ハッキング)で発電所、メディアの機器を乗っ取りました。GPSが使えなくなった偵察用のドローンは自己位置を評定できなくなり、地上に降下したまま動かせない状態に

されてしまいました。

さらに敵の砲弾の電子信管を作動できなくしました。また、携帯電話を一時的に使用不能にして、その機能が回復した時には、数多くのフェイク情報をメール等で大量に流したのです。このためウクライナの住民は混乱へと陥りました。錯綜した情報を与えられた市民によるデモ隊がインフラ設備に押し寄せ、占拠することによって、電源が落ちてしまう事態も発生。停電状態の中、頼りとなるラジオ局もデモ隊に占拠された状態となり、ラジオからフェイク情報が流し続けられました。

…後に、インフラ設備を占拠したデモ隊は、実はロシア軍であることが判明しています。こうした戦い方で、ロシアはクリミア占領という戦争目的を達成したのです」(二見龍氏)

これが“ハイブリッド戦争”と言われる戦争形態の一例だ。

「サイバー攻撃により国家機能をマヒさせ、その間に特殊部隊などによって、政治経済の中枢部、都市部でのインフラなどの重要施設を迅速に占領してしまう」(同氏)ーそれがハイブリッド戦争。

わが国は、こうした戦争に対処できるのか。

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