高森明勅

2020年10月28日2 分

天皇陛下、明治神宮ご参拝

最終更新: 2021年1月23日

10月28日、天皇陛下には、明治神宮にお出ましになった。

来る11月1日に明治神宮がご鎮座百年を迎えるのに先立って、親しくご拝礼をなされた。

皇后陛下も随(したが)われた。更に、上皇・上皇后両陛下、秋篠宮・同妃両殿下もご参拝になっている。明治天皇と昭憲皇太后を祀(まつ)る明治神宮は勿論(もちろん)、全国16社ある勅祭社(ちょくさいしゃ)の1つ。ご鎮座90年に際しては、平成22年11月8日に上皇・上皇后両陛下がご参拝なされている。その時の御製(ぎょせい)は以下の通り。

新たなる

知識 世界に

求めつつ

国を築きし

御代(みよ)をしの(偲)びぬ

上皇后陛下の御歌(みうた)も掲げる。

窓といふ

窓を開きて

四方(よも)の花

見させ給(たま)ひし

大御代(おおみよ)の春

ーこの御歌は、明治天皇の次の御製(明治45年)を踏まえておられる。

たかどの(高殿)の

窓てふ窓を

あけさせて

四方の櫻(さくら)の

さか(盛)りをぞみる

ちなみに、ご鎮座50年は昭和45年だった。同年11月5日に、昭和天皇と香淳皇后が同神宮にお参りになっている。この時の昭和天皇の御製は以下の通り。

おほぢ(祖父)のきみの

あつ(篤)き病(やまい)の

枕べに

母とはべ(侍)りし

おもひで(思い出)かなし

昭和天皇は、死の床に臥(ふ)された明治天皇を、ご自身が「枕べに」見舞われた時の悲しみを、遥かに回想しておられる(昭和天皇は明治34年のお生まれ)。『昭和天皇実録』で確認すると、明治45年7月20日の宮内省による明治天皇のご発病の発表以降、29日の崩御(ほうぎょ)に至る間、頻繁にお見舞いに参内(さんだい)されていたことが分かる。

その中で、「母(貞明皇后))」とご一緒だったのは26日だけ(この時は昭和天皇〔当時は皇孫〕と貞明皇后〔当時は皇太子妃〕のお2方のみ)。よって、この御製は同日の「おもひで」をお詠(よ)みになったものだろう。

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