高森明勅

2020年3月13日1 分

旧宮家の皇籍取得が困難な理由

最終更新: 2021年3月21日

旧宮家の皇籍取得が困難な理由

皇位継承の男系限定に拘る人々が唱えていた旧宮家系国民男性の皇籍取得という方策。私はこれまで、その困難さを繰り返し指摘して来た。政府もようやく、既にそれを現実的な選択肢から除外している事実を、隠さなくなって来たようだ。おさらいとして、それが困難な理由を改めて掲げておく。

(1)限られた対象者の中で、誰が自発的に皇籍取得の意思を持っているのか?

(2)もし自発的に皇籍取得の意思を持つ人がいても、皇族になるに相応しい資質や経歴を備えているか?

(3)昨日まで民間で普通の生活をしていた人が、婚姻という人生の一大事を介在させることなく、急に皇族になることに国民が違和感を持たないか?

(4)一般社会での身分制を廃止し、世俗化が加速する現代において、そうした前例が生じると、聖域であるべき皇室と一般国民との区別が曖昧になる、憂慮すべき傾向を生まないか?

(5)以上のような無理に無理を重ねても、側室不在、非嫡出の継承否認という前代未聞の窮屈な条件下では、皇位の継承も、宮家の存続も、男系限定では行き詰まる他ないのではないか? 

ーー政府も理性的に検討すれば、結論は最初から決まっていたはずだ。

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