高森明勅

2018年11月28日2 分

白紙委任法という暴挙

最終更新: 2020年10月31日

外国人労働者(=移民)の受け入れを拡大する出入国管理法改正案。

僅かな審議時間のみで衆議院を通過した。

移民政策をどう評価するか以前に、この法案の重大な問題点は、制度の「中身」が

法律ではなく、政令や省令に全面的に委ねられている事実にある。


 
これでは法律を作る国会の存在意味は無くなる。


 
具体的な制度の設計から運用まで、行政サイドが自ら恣意的に定める事が可能な

政令・省令によって、いかようにも出来てしまう。


 
本来、それらを制限すべき法律上の縛りが「スカスカ」だからだ。


 
とても民主的な法治国家のやり方とは言えない。


 
かつてワイマール共和国の終焉を決定付けた全権委任法(1933年3月、正確には
 
「国民と国家の苦難を除去するための法律」!)を思い出させる。


 
同法は当時、同国の国会の院内規則などを無視する形で、しかし3分の2を上回る賛成多数

(賛成441票―反対94票)で可決された。


 
これによって向こう4年間、政府は自ら必要と認めれば、国会に諮(はか)らずに、独断で法律を制定できる事になった。


 
法律で定めるべき内容の多くを政令・省令に委ねた今回の法案は、殆ど「全権委任法」への入口を差し示しているかのようだ。


 
法律が成立しても問題は終わらない。


 
むしろ法律が「スカスカ」な分、国民側の盛り上がりによっては押し戻せる余地も

大きいはずだ(2年後の見直しも)。


 
12月のゴー宣道場は重大な場面での開催となった。


 
衆議院で法案審議の最先頭に立ち続けられた山尾志桜里議員をゲストにお迎えし、

互いの信頼と尊敬を基盤に充実した討議を行いたい。


 
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