高森明勅
2018年7月15日2 分
天皇陛下のご譲位を可能にする特例法。
一般には余り気付かれていないようだが、1つ大きな謎がある。
それは、最終的に皇室会議の関与が法律に盛り込まれた事実。
これは不思議だ。
何故なら、与野党の合意(国会見解)では、あくまでも“努力目標”という「軽い」扱いにとどまっていたからだ。
政府は国会見解での合意事項さえ、押し戻そうと姑息な動きを見せた。
にも拘らず、努力目標に過ぎなかった皇室会議の関与が、しっかり条文に明記された。
これは何故か。
与野党協議の場で、政府の意向を代弁する自公両党は、皇室会議の関与に頑強に反対した。
皇室会議には皇族2方がメンバーに加わっておられる。
よって皇室会議の関与は、天皇の国政権能を否定した憲法に抵触する、と。
無茶なロジックだ。
天皇が憲法上、国政権能を否定されている自らの地位を退くことは、それ自体、何ら国政事項ではあり得ない。
むしろ“皇室の長”でいらっしゃる天皇が、その地位を退かれるに当たり、皇室を構成する皇族の意向が全く排除されるのは、余りにも不合理。
だからこそ、私どもは「譲位3要件」の1つとして、これを掲げた。
しかし与党側は、それに最も強く抵抗した。
その結果、国会見解では努力目標に“引き下げ”られた。
こうした経緯から、政府が自発的に皇室会議の関与を追加した可能性は、殆ど皆無。
野党も、合意事項に明確に反した場合なら、与党側を信義に悖ると責めることが出来る。
だが、努力目標は合意事項と迄は言えない。
攻撃の決め手が無い状況だった。
だから皇室会議の関与は、かなり悲観的にならざるを得なかったのが実情。
ところが、フタを開けてみれば条文に明記されていた。
政府自身の意向でないのは勿論、野党の要求がそのまま通ったとも、想像しにくい。
そこには、もっと“別”の、かなり強力な要素が関わったとしか考えられない。
それは何か。
消去法で考えれば、分かる人には直ちに分かるはずだ。